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花粉症は昔はなかった?なぜ増えた?
日本における歴史や患者が激増した原因を解説

2026.03.17

  • # 花粉症
  • # 昔
  • # コミュニケーション

くろまるくん

花粉症はツライよね~。
昔はなかったのに、なぜ増えたんだろう?原因や治療方法など、いっしょに見てみよう~!

海外では昔から干し草がアレルギー症状を引き起こすことが報告されていましたが、日本で花粉症の報告は1960年代以前までありませんでした。

昔はなかった花粉症の急増は、花粉飛散量の増加や食生活の欧米化などの影響が大きいです。

本記事では、花粉症患者が激増した理由や花粉症の歴史について詳しく解説します。
また、花粉症を予防するコツや、効果的な治療法とその内容などもあわせて紹介します。
昔はなかった花粉症がなぜ増えたのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

花粉症は昔はなかった?

花粉症は昔はなかった?

昔はなかった花粉症が日本ではじめて報告されたのは1961年です。
最初の報告以降、花粉症患者は徐々に増加し、現在では2人に1人が発症する国民病であり身近な疾患です。
まずは、日本における花粉症の歴史と、現在の発症者の多さについて解説します。

日本における花粉症の歴史

日本では、1961年にはじめてブタクサ花粉症に関する報告がありました。次いで、1964年にスギ花粉症についても報告されています。
明治時代には、海外で干し草が目のかゆみやくしゃみ、鼻水などの症状を引き起こすと確認されていましたが、日本人の発症例は戦後しばらくの間はほとんど確認されていませんでした。
第二次世界大戦後、日本では復興の資源にするため大量のスギが植樹されたものの、伐採予定の時期に安価な輸入材が普及したことで、多くのスギが伐採延期となりました。
結果的に、残されたスギから多量の花粉が飛散し、スギ花粉が原因の花粉症患者が増加しています。

また、時代が進むにつれて日本でも大気汚染や食生活の変化がみられたことも、昔はなかった花粉症の拡大に影響しています。

現在は2人に1人が発症する国民病

花粉症を含むアレルギー性鼻炎の有病率は、2019年時点で49.2%まで増加しており、2人に1人が発症する国民病となりました。スギ花粉症の有病率も上昇傾向にあり、具体的にはそれぞれ次の表のように増加しています。

項目 アレルギー性鼻炎全体 スギ花粉症
1998年 29.8% 16.2%
2008年 39.4% 26.5%
2019年 49.2% 38.8%

また、2019年時点のスギ花粉症有病率を年齢層別で調べた結果は、次のとおりです。

年齢層 有病率
20代 47.5%
30代 46.8%
40代 47.5%
50代 45.7%
60代 36.9%

参照:
鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年、2008年との比較):速報―耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として―

20~50代と幅広い世代で、有病率が高いことがわかります。
年々発症者が増加傾向にある花粉症は、身近な国民病といえるでしょう。

なぜ増えた?花粉症が激増した原因

なぜ増えた?花粉症が激増した原因

昔はなかった花粉症が激増した主な原因には、花粉飛散量の増加や大気汚染物質の影響が挙げられます。
ほかには、食生活の欧米化や感染症の減少なども関係しているため、それぞれ詳しく解説します。

花粉飛散量の増加

昔はなかった花粉症の激増には、戦後に植えられたスギやヒノキが育ち、花粉の飛散量が増加したことが大きく影響しています。スギ花粉の飛散量は1979年、1982年、1984年に急増したあと、1995年にも大量の飛散が確認されていました。

さらに、2000年以降も飛散量は増え続け、スギ花粉症有病率も上昇傾向にあります。

大気汚染物質の影響

大気中の化学物質が付着した花粉を鼻から吸い込むと、アレルギー反応が起こりやすい可能性があります。
日本では、スギ花粉が花粉症の原因の約7割を占めていますが、スギは昔から生育されている樹木です。
昔はスギ花粉の影響を受ける方が少なかったにもかかわらず、時代の変化と共にスギ花粉症患者が増加した背景には、スギの増加と大気汚染が重なったことが影響していると考えられます。

実際に、スギ花粉本来の状態で吸い込む分にはアレルギー反応は出にくく、大気中の汚染物質を吸着した状態で吸い込むと、アレルギー症状が出やすいとする説があります。
浮遊中のスギ花粉に、ディーゼル車から排出された粒子が付着する可能性は高く、都市部で採取した花粉の表面には付着物が多いです。
大気汚染物質がついた花粉を吸いこむリスクが高くなったことも、花粉症患者激増の一因といえるでしょう。

食生活の欧米化

たんぱく質や脂肪が多い食事は、アレルギー性鼻炎の悪化に影響する可能性があります。

日本では徐々に食生活が欧米化し、畜産物や油、乳製品などの摂取量が増加する一方で、米の消費量は減少気味です。
腸内に存在する微生物は食べ物の影響を受けやすく、食生活の欧米化にともない腸内環境も変化していると考えられます。

腸内環境は免疫機能にも重要な役割を担うため、栄養バランスがよく健康的な食事とされる和食中心の頃よりもアレルギー症状を起こしやすくなる可能性が示唆されています。

感染症の減少

結核や寄生虫への感染が激減した一方で、アレルギー性鼻炎の患者は増加しています。
環境や医療体制の改善により感染症にかかりにくくなった結果、体内の細胞バランスが変化し、花粉にアレルギー反応を示すことがあると考えられています。
たとえば、結核にかからなくなったことで活性化したⅡ型ヘルパーT細胞が優位になり、アレルギー症状を起こす可能性があるという報告が一例です。

花粉症を発症するメカニズム

花粉症を発症するメカニズム

粉症は花粉に反応してすぐに発症するわけではなく、感作期と蓄積を経て発症します。
また、発症までの期間は個人差があるため、発症時期の予測は困難です。
花粉症を発症するまでのメカニズムについて、詳しく解説します。

感作期・蓄積期を経て発症する

そもそも花粉症によるくしゃみや鼻水などの症状は、鼻に侵入した花粉を異物と判断し、排除して無害化しようとする反応ですが、反応に至るまでには感作と蓄積を経ています。
感作とは、アレルギー素因を持つ方が侵入した花粉に合う抗体を作ることで、感作期は花粉症発症までの準備段階です。
一度抗体が作られたあとは、花粉を浴びるたびに抗体が増える蓄積期を迎え、抗体が十分な量に達したタイミングで花粉症を発症します。

発症のタイミングは個人差がある

花粉症発症までの期間は人それぞれ異なり、数年の方もいれば数十年かかる方もいます。
ただし、近年は花粉の飛散量増加、環境や食生活の変化による影響などが重なり、短期間で発症するケースが増加傾向にあり、花粉症にかかる子どもも多いです。

まだ花粉症と診断されていない方は、いつ発症してもおかしくないことを理解し、くしゃみや鼻水などの症状が出たら早めに医師の診断を受けましょう。

花粉症の治療方法と予防

花粉症の治療方法と予防

花粉を避けて室内に持ち込まないことが、花粉症の予防につながります。
予防しても花粉症を発症した場合、対症療法や免疫療法などの治療が効果的です。
治療の内容と予防のコツについて、詳しく解説します。

花粉症の治療方法

花粉症には、抗ヒスタミン薬や鼻に噴射するステロイド薬を使用する対症療法が主流で、主な目的は花粉症による症状を抑えることです。
また、花粉が侵入してもアレルギー反応を起こさせないための免疫療法も効果的です。

免疫療法には、舌下免疫療法と皮下免疫療法の2種類があり、アレルギー反応を起こす成分を含む薬剤を定期的に投与します。免疫療法はタイミングが重要で、花粉が飛散していない期間におこなわなくてはなりません。

なかには、最低3年間の服用が必要になる薬もあるため、医師に治療期間や期待できる効果を確認して、慎重に検討するとよいでしょう。

花粉症を予防するコツ

花粉症を予防するためには、花粉を鼻に侵入させないことが重要です。

具体的には、次のような方法が効果的です。

  • マスクや眼鏡の装着
  • 花粉が飛散しやすい昼前後と夕方の外出を避ける
  • テレワークを活用し外出を控える
  • 花粉が付着しにくい衣服を選ぶ
  • 露出を減らす
  • 手洗いとうがい、シャワーや入浴で花粉を洗い流す
  • 換気で窓を開ける際はレースのカーテンをする
  • カーテンは定期的に選択する
  • 洗濯ものの外干しは控える

職場の協力が得られる方は、花粉が多い日の外出は控え、テレワークをするとよいでしょう。
外出を避けられない場合は、時間帯を選んだり、花粉がつきにくい工夫をしたりして、帰宅後は早めに花粉を洗い流すことをおすすめします。

まとめ

まとめ

昔はなかった花粉症が激増した主な原因は、花粉の飛散量の増加です。また、時代とともに環境や食生活が変わり、体質が変化している影響もあるでしょう。
花粉症は、鼻の中に花粉が侵入したらすぐに発症するわけではなく、作り出した抗体が一定量まで蓄積されることで症状が出現します。

花粉症発症までの期間には個人差がありますが、子どもでも花粉症になるケースが増加しています。
まだ症状が出ていない方は、極力花粉を避けて花粉症を予防しましょう。
発症した方は、自身に適した治療で症状を和らげることをおすすめします。

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監修者

監修:若山 貴久子

1914年より100年以上の実績を誇る「若山医院 眼科耳鼻咽喉科」にて院長を務める。
耳鼻咽喉科専門医、補聴器相談医として日々の診療にあたっている。

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